インタビュー漆工

やっかいで面倒な仕事の方が好き。この仕事を辛いと思ったことは一度もない。

白木屋漆器店

宮原 正岳

MIYAHARA Masatake

塗師屋一筋48年。数少ない一級技能士の資格を保有。
地元、長野県塩尻市木曽平沢にある漆芸訓練校にて指導員としてあたる。

趣味は山菜・きのこ採り。現在、孫に夢中。

「親切な仕事」。相手のことを思って行う仕事。

インタビューに答える宮原さん

普段のお仕事の内容を教えて下さい。

仕事をするうえで、大切にしていることは「親切な仕事」です。「親切」って幅広い言葉ですが、相手のことを思って行う仕事のことを「親切な仕事」と捉えています。

細かいものから、家具まで幅広く手掛けていますが、数を多く作るというより、一つひとつのものをこだわって作っています。

漆器作りとは別になりますが、木曽の技術校で漆塗り技術を若い人たちに伝える講師もしています。

細かな所まで念入りに確認します。

漆の塗師になったきっかけを教えて下さい。

元々家業でもあったし俺で六代目。自然と身近に漆があり子供ながらに手伝えることを手伝っていたら自然と家業を継いでいました。

あえてきっかけと言えるストーリーがあるとすれば、小さい頃に木地でできた漆器の器でお味噌汁を飲んだ時に「なんて美味しいんだ」と感じだときですかね。漆器の器には独特の柔らかさと暖かさがあると思うんです。それを感じだときに、漆って、漆器っていいなぁと感じたのがきっかけかもしれません。

作品を仕上げる宮原さん

若い人に技術を伝えることも積極的にやられているんですね。

若い人にこの仕事に従事してほしいという思いはやっぱりありますね。後継者がいないのはつまらないじゃないですか。失われてほしくない技術だと思います。せがれも漆に関わる仕事をしていますが、最近では孫にも継いでほしいなぁとこっそり思っています。

そのためには、景気がよくなきゃいけないし、楽しい姿を見せなきゃいけない。無理矢理とか嫌々受け継ぐことのできる技術でもないところがまた難しいところでもありますね。

物づくりには辛さの奥に、楽しさと達成感がある。

一人でも多くの方が漆に興味を持って頂けるといいですね。

技術や伝統を受け継いでもらいたいと思いますが、色々な漆器を通じた体験を伝えることで、若い人の何かしらのヒントになればいいなと思います。

私はとにかく、ものづくりが好きで手仕事が好きなんですよ。でも、ものづくりってうまく行かない時本当に苦しい。でもそれを乗り越えて完成した時、本当に楽しいし、なんとも言えない達成感があります。

若い人は色々な武器をもっているし、これから新しく持つこともできる。慌てずゆっくり探せばいいし、そんな時にこの漆器作りという機会や体験がその人の中で貴重な経験の一つとして、生きてくれればそれも凄く大切なことなんだと思います。

様々な可能性に挑戦してほしいです。是非、木曽平沢の街にも遊びに来てください。

工房には宮原さんの格言が飾られている

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